ラ・ラ・ランド(LA LA LAND) 映画手帳②
話題の「ラ・ラ・ランド」
僕にとっては宣伝からは予想できないほどの「シリアスミュージカル」でした笑
いい映画ですけどね。感想書き書きしました。
*ネタバレ注意
ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)
出典:https://twitter.com/lalaland0224/media
<キャスト>
セバスチャン(セブ)・ワイルダー -:ライアン・ゴズリング
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ミア・ドーラン:エマ・ストーン
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<監督・スタッフ>
監督・脚本:デミアン・チャゼル
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
<その他>
配給:サミット・エンターテイメント(米)
GAGA/ポニーキャニオン(日)
公開:2016年8月31日 (ベネチア国際映画祭)
2016年12月9日 (米)
2017年2月24日 (日)
上映:128分
<あらすじ>
オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。
引用:http://eiga.com/movie/82024/
<感想>
通ぶっていうと作りがすごくよかったです。起承転結がしっかりしてます。
序盤にいきなりミュージカル風の演出があるのでその後のミュージカル感に違和感を感じなくなります。立ち上がりでこの映画はこういうものだよって説明できてるなあ。
出典:https://twitter.com/lalaland0224/media
それと、ミアやセブの現状を最初の15分くらいでしっかり印象付けて説明にかかる時間を短くできてる分、一つのシーンの演出に時間をかけられていてクオリティが上がってました。「主人公頑張れモード」に早くなれますね。
出会い、発展、挫折、すれ違い、再開、成功
この展開もセオリー通りきっちりやっていて感情移入しやすい。
恋愛ものはやっぱりうまくいかないシーンがないとだめだなあと再確認。
構成的な話はここら辺にして、
肝心の内容ですが、ファンタジーだけどすごく現実的って感じでした。
もちろん、楽しい音楽とか、若い二人が成功を目指す姿にすごくファンタジーな要素を感じるし、演出もミュージカルなだけにウキウキな感じです。
ただ、冷静に考えると現実的でミュージカルのお話っぽくはない感じ。
例えば、セブはジャズピアニストですが、「本物のジャズ」が流れる店を持ちたいという目標があります。これがまずもう現実的。
(本人は出店が夢って言ってますけど自分のスタイルで曲出したりできるならそっちの方がやりたいんだろうなあって感じはします)
結果的にこの夢は叶いますが、それも昔の友人のツテで音楽で稼げる仕事が回ってきたから、それも自分のやりたいスタイルのジャズではなく、大衆ウケのいいポップス・ジャズのような形式。我慢してそこでお金を稼いでようやく出店してるんです。いい店ですし、夢は叶ってますけど映画の中での「成功」としてはすごく現実的です。
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一方のヒロイン、ミア。
彼女は大学を中退して六年間女優を目指して活動していました。
全くの鳴かず飛ばずでオーディションには一つも受かりません。セブと出会い刺激を受け、一人舞台の演出・主演を決意。その舞台を配役事務所のディレクターに気に入られオーディションに呼ばれ成功を掴みます。ミアの方はかなり「映画っぽい」ですが、この後がめちゃくちゃ現実的で、5年後、ミアはセブでない別の男性と結婚し子宝にまで恵まれました。
これが何故、ミアが現実的であるかということになるのか。
セブはミアが有名になるきっかけとなったオーディションの合格発表の前、もし受かったら女優業に専念した方がいいとミアに提案します。その後、今後どう付き合っていくか決めようということです。
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その後、どうなったか、前述の通りです。
この結末になる舵を握っていたのはミアのはず。何故なら彼女の夢の先には大女優が。
セブの夢の先はジャズ店のオーナー。どちらの方が人生の選択肢が多いかと言ったらミアの方でしょう。セブの方から大女優になりつつあるミアに自分と付き合ってくれと言い出せますでしょうか。
結局ミアは「現実的な立ち回り」を選んだわけです。
「現実的な立ち回り」と僕が感じたのは、多分、ミアはセブが好きだからです。
その根拠は、最後のシーンにあります。
夫とともにミアがセブの出店した店に偶然入るシーンなのですが、そこで互いの存在に気づきセブはミアの前で初めて会った時に引いていた曲を演奏します。(ピアノ)
その中で「もしセブとミアが結婚していたら」というifストーリーが二人の共通意識的な演出で流れるのですが、これがもうめちゃくちゃ幸せそう。ミアもそんな未来だったらなあって感じの表情するわけです。そして最後にミアが店を出る時、出口から振り返ったミアとセブの目が合い二人はニコッと笑います。それは多分、互いに好きなんだけど、夢のため一緒になることはできない、お互い頑張ろうぜ!っていう意味に僕は感じて。
すごく現実的じゃないですか?
セブは彼女いない感じだし、店の名前もデザインもミアが考えたやつだし、セブ側の受け入れ態勢は万全だったはずですよ。
(最初のシーン、女の人が歌ってた歌の意味はこういうことだったのか、、)
他にも映画序盤にまだ何者でもないミアとセブが撮影が行われている道路を横切るシーン。
撮影が終わった瞬間に言い合いをしてる女優と男優が地味に二人の背後に描かれたりしてて。
最初のミュージカルシーンも渋滞の中、人々が車を降りて歌いだすんですが、渋滞してる道路って多分ロス界隈の現実問題なんだろうなあって感じがして。
(日本だったら満員電車からサラリーマンが降りて歌い出す的な?)
なんか総じていうと「シリアスミュージカル」って感じです。
やっぱり恋愛映画はベタに主人公が結ばれる方がスッキリするなあって感じました。笑
でもいい映画です。